本番に弱い

保護者様と話をしていて、「ウチの子、本番に弱いんです。」と言われることがたまにあります。実際に、一生懸命勉強してテスト前には「こりゃあいけるぞ!」と思っていても、いざテストの結果が返ってきて「あれれ?」となってしまう子もいます。

 

「本番に弱い」はどこから来て、どうすれば「本番に強く」なれるのでしょうか。

「本番に弱い」=緊張しやすい


本番に弱いというのは、テストや試合などで本来の力が出し切れないことですが、それは、緊張しやすいというのが原因だと思っています。緊張すると体がこわばり、体が思うように動かなくなります。頭と体はつながっているので、テストでも緊張してしまうと思うように問題が解けなくなります。視界の周りが暗くなって視野が狭くなったりします。焦りも出て、問題を読み間違えたり計算ミスも発生します。

 

ここで気を付けなくてはいけないのが、計算ミスが多いからといって「本番に弱い」というわけではないということです。ただ計算ミスが多いのは単なる実力不足。本番に弱いは、プレッシャーがかかったときに激しく緊張してミスをしてしまうということです。

 

最近興味深かったのは教科書音読テストで、生徒がみるみる緊張していくのが伝わってきたことです。何度も事前に読んで準備をし、それでも合格できるかどうかのタイムで速読をしてもらったのですが、そのときに、残りタイムが少なくなってくると生徒の緊張が高まるのが手に取るように分かりました。すると、多くの生徒は後半になってもあまり変化ないのに、明らかに読み間違えが増えてペースが遅くなっていく生徒が何人かいました。その時、これが「本番に弱いの正体」かも知れないと思いました。

 

緊張が高まっても自分のペースを崩さずにできる子がいる一方で、焦りで自分の行動が制御しきれなくなる子がいて、それがテスト時に起こっているとしたら、力を発揮しきれない原因になっているはずです。

「緊張するな」は無理


じゃあテストで緊張しなければいいのですが、それは簡単にはいきません。緊張しないようにと思えば思うほど、逆に緊張感が高まってしまう経験は誰しもがしたことがあるはずです。

 

また、緊張は場数を踏めば乗り越えられるとも言われます。お笑い芸人の人が、「舞台は『もう』緊張しない」と言っているのをたまに聞きますが、それは舞台に立つことが日常になるほどの場数を踏んだからだと思います。では中学生や高校生がテストで緊張しなくなるまで毎日のように場数を踏めるかというとそれもまた難しいです。

 

緊張をものともしない習熟を


では当面の克服法としてできるのは、「緊張しても問題が解けるまで準備をしておく」しかありません。私は、高校入試の数学で序盤でつまづいて頭が真っ白になりましたが、それでも手が動き続けて助かりました。(そのようにして下さった塾の先生方には今でも足を向けて寝られません。)このように、反射的に出て来る知識になるまでテスト範囲を習熟することで、「頭真っ白でもとりあえず手は動く」ことができます。

 

 

音読テストのときにも感じたのですが、「勝てるかどうかギリギリ」の時に緊張感は高まります。ですからそのテストのレベル以上の力を身に付けておくことで心の余裕が出て緊張感も和らぎます。十分すぎる準備をすることで本番時の焦りを減らせる可能性があります。

 

身も蓋も無い話になってしまいましたが、場数の慣れは塾で緊張する機会を経ていくことで少しずつ身につくとは思います。それに加えて、演習量です。限界までやり込むことで「ここまでやったんだし」と、どこか諦めの境地のようなものが緊張感を味方に変えてくれるような気がします。