指導で気を付けていくこと⑥

前回の続きです。

 

勉強の第2段階は、得た知識や技術を練習して自分のものにする段階です。練習して自分のものにする前に、教えたことがすぐに抜けてしまう生徒の場合、少しでも抜けないように教える工夫が必要だと思います。

 

そこで思いつくのは、「内容を印象的にする」「自分の体験にさせる」「教える内容をひとくち分にする」ということです。

内容を印象的にする


「内容を印象的にする」とは、インパクトを残すことです。それには、感動を伴っている必要があります。例えば「3日前に食べた夕食」よりも「今まで食べた中で一番美味しかった寿司」の方が思い出しやすいように、人は感動とともに体験したことを記憶に残しやすいそうです。

 

心が動くという意味では、笑いも怒りも感心も全て感動です。ですから、授業では生徒を笑わせますし、小テストでは悔しがってもらいます。生徒の中には、小テストで不合格の場合、「あ"あ"あ"あ"っ!」と悔しさを声に出す子もいるくらいです(^_^;) そうした感情を伴った体験は記憶に残りやすいので、勉強の効果が高くなります。

自分の体験にさせる


「自分の体験にさせる」とは、生徒が自分の体を使って勉強をするようにさせることです。

 

辞書を引かせるようにしたり、例文を暗唱させる。問題は本人に読ませる。全て講義形式でやってしまうほうが速いのですが、生徒が受け身になっているうちは身に付かないので、多少時間がかかってもこうして生徒に動いてもらうほうが効果は高いと感じています。

 

授業の主役は生徒であって、主役が一番たくさん歌って踊らないと、良いステージではありません。講師は必要なところだけ出てくるような名脇役を目指します。

教える内容をひとくち分にする

「教える内容をひとくち分にする」とは、スモールステップを作ることです。

 

例えば今、中3受験生たちの英語授業は長文指導をメインに行っていますが、ここでもスモールステップを使っています。

 

長文指導の最終目標は生徒が入試レベルの長文を時間内に一人で読みこなすことができることです。ですがいきなり長文をそのままで読ませようとしてもなかなか上手くいきませんでした。ですから、まずは英語の構文を指導し、文構造を掴む練習を夏から秋にかけて行って来ました。そして次は文章を小さなかたまりに分けて読む練習をさせました。それで訳すことができるようになってきた生徒は、次は自分で訳していく練習をさせています。こうして1つ1つのステップを踏むことで最終的な目標に達することができます。

 

これは受験生全員に対し行っていることですが、前記の真似する力が弱い生徒に対してはこのステップの数を増やすことで確実に身に付くようにしていく必要があると思っています。