【ルポ】営業の電話を切るまでに

電話にでんわ。

電話で営業してくる人にお願いしたい


なんだがすごい営業を受けたので書いておきたい。

 

留守電に、

 

「『新規生徒募集』と書いてあるのを見て連絡しました。連絡ください。」

 

と入っていた。「名前を名乗らない」のと「連絡ください」はたいてい入塾を検討されている保護者様だ。だから折り返し電話をした。つながらなかったのでこちらも留守電にメッセージを残したらすぐに折り返しが来た。

 

「今回入塾を希望しているのではなく私の会社の従業員のお子様なんです」

 

という話から始まったので、ご紹介なのかなと思って話を聞いていると少しずつ分からなくなってきた。

 

「弊社は官公省に向けたサービスなどを提供している会社で」

「そのサービスの一環で会員には塾も紹介している」

「ただ今までの塾では講師が長々とおしゃべりしてたりして会員とのミスマッチがあり、生徒の受け入れを御社にお願いしたいのです」

 

私としては、塾の問い合わせだと思って聞いていたので「??」となった。そして

 

「御社ではどんな学年の生徒が多くて、週に何人くらいの受け入れが可能でしょうか」

 

と聞かれたときに「なんかおかしい」とやっと気づいた。「ちょ、ちょっと待ってください。今までの話を整理させてください。」と話を切り、

 

「生徒の斡旋ですか?」

 

と聞くと「違う」と返ってきた。確かに言った。この業界では、「生徒募集」の為のウェブサイトや広告媒体を運営している会社が多くあり、そこから「ウチに広告を載せませんか」という営業がよくかかる。「生徒斡旋業」だ。

 

だからその類かなと思って聞いてみたのだがNOと言う。話が見えない。彼は続ける。

 

「ウチは生徒一人につきいくからとか、有料で生徒を紹介するサービスではありません」

「ただ無償ではないので、はじめの24カ月はいくらで、25か月目からは…」

 

ほらきた。生徒斡旋業じゃん。私は「ご納得がいただけましたら」と言ってくる彼に向って、「ウチは結構です」と言って電話を切った。実に電話を受けてから20分後のことだった。

 

とにかく営業であることを悟らせないようにする手法がすごいと思った。まず留守電で名乗らなかったこと、次に営業電話なのに折り返しの連絡を要求したこと。そして「営業か?」の問いに「NO」と言ったこと。「官公省」という、なんだかすごそうなワードを出して権威付けしてくる点も抜かりがなかった。営業電話を切らせないために張り巡らされた数々のテクニックに感服だ。たぶん今まで受けた営業電話で一番たくさんの時間を使ったと思う。話を進める中で「のば」と名乗っていたけれど、はじめは「駅前留学」なのかなと思っちゃったよ。

 

こうして私の授業準備の時間が無くなったのであった。