それは応援してくれる人を減らしちゃうよ

それではハンバーグの握りをお出ししますね。

「勉強が嫌い」と声高に叫ぶ子


「勉強が嫌い」ということを大っぴらに言う生徒がいる。過去に5人くらい見てきたかな。

 

これがなかなか塾講師としては複雑な気持ちになる。寿司屋に入って大将に「生魚嫌いなんだよね」とか、サッカークラブに入って監督に「本当はテニスがしたかったんだよね」と言っている人がいたらどうだろうか。

 

もちろん勉強嫌いの子はたくさんいる。そしてそれを改善するのが塾の役割の一つで、それは医者が患者の病気を治すのにも似た、とても大切な仕事だと思う。ただしこの場合の「勉強嫌い」はいわゆる本物のやつで、勉強に対して「恐怖心」が混じっていることが多い。きっと過去に勉強に関することで辛い目に遭ったんだろうなというのが見て取れる。そういう子に対して塾講師は当然何とかしたいと思っている。そんな生徒が勉強で成果を出し、「やればできる」と再び前を向くようになったときは最高の喜びを感じる。

 

しかし前述の「勉強嫌いを公言する子」は少し違う。ハッキリ言うと「ボクに面倒なことはさせないでよね」と聞こえる。自分を「腫物」にすることで面倒な作業が自分に降りかかってくるのを暗に防いでいるのだ。「私ってぇ~、こんな人間じゃないスかぁ~。」と、自分の取説を押し付けてくるタイプなのかも知れない。きっと今までもそうすることで、鬼ごっこにおける「お豆(場所によっては『オミソ』とも言うらしい)」のポジションを取ってきたんだろう。

 

もちろんそういう生徒でも「自分の取説を押し付ける圧」の強さでは私の方が圧勝できる。おっさんの厚かましさを舐めてもらっては困る。そのツラの皮の厚さはカワハギを凌駕すると言われている。「いいからやれよ」で片付くことも多い。しかしそれで片付かなかった場合、「ボクは嫌だって言ったのに」と、なぜか塾が悪いような空気を出してくることがある。だからそういう生徒を見ると複雑な心境になる。

 

塾に何をしに来ているのか。きっと「生魚嫌いなんだよね」と言われた寿司屋の大将と同じことを思っている。