情報端末の普及によって新たな問題が起こる。
「オフレコ」が漏れちゃった
こんなニュースがあった。
職員室の会話の録音、学校端末から生徒に漏れる..ショックで1人登校できず
中学校の職員室での先生同士の会話が生徒に漏れ、話題に上がった生徒が学校に行けなくなったというニュース。学校に行けなくなってしまった生徒においては気の毒に感じる。
しかしどうも記事の書き方がキナ臭い。「生徒の端末」が「なんらかの事情で」「録音機能が作動」。で、「端末を返却された生徒が」その録音ファイルを「複数名に送信」し、問題となったそうだ。記事を読むだけなので真相は分からないが、「うん、この生徒やっとるね」と思ってしまうのは私が疑い深いせいなのか。
それは置いておいて。「本音と建て前」というのは大人になるほど使い分けるものだ。そして「教員は公私ともに清廉潔白であるべきだ」という風潮は依然として強いようだ。私としては、同僚と愚痴を言い合うこともできない教師のほうが信用できないけれど。
昔働いていた塾でも、講師同士が愚痴を言い合うなんて普通にあったし、時にはその内容が生徒に及ぶこともあった。また、夜に外食をしていると、「塾講師のバイト終わりかな」という集団が生徒の話を大きな声でしていて「オイオイ...」と思うことも度々ある。
逆に生徒だって先生の悪口は言っているものだ。私が生徒だったときも、全く悪口を言わなかったかと言えばウソになる。思春期に芽生えた自我は、外への批判という形で育つものだと思う。塾で働いていて、自分を「これは家庭内で悪く言われているな」と思う生徒の態度に触れることもある。私だってたくさん悪口は言われているのだ。書いていてショックで塾に来れなくなりそうです。
そういうものだとは思うけれど、大人よりも子供にとってのそれは衝撃の大きいものだし、それが信頼すべき先生から出たということに関して間違いなく問題だ。なにより、まだ「先生は清廉潔白である」という生徒のヒーロー像を壊してしまったことも罪が重い。偶然か生徒の悪戯か分からないけれど、一瞬にして人間関係を壊す。情報端末の怖いところである。付け加えると、この当事者の教員も学校に来られなくなっていると別の記事にあった。職場のどこでも本音を隠さないといけないならば、教員になりたいって人は減っていくんじゃないかなと思う。