嫌だ、行きたくない。
勇気を持って変わろう
突然昔の記憶が蘇った。
幼稚園の入園式の日、私は泣きじゃっくっていた。園に向かう途中、母に引かれる手を必死に振りほどこうとしていた。「行きたくない」。入園式は母と離れて座る。なぜだか分からないが、それを知っていて「怖い」と感じていた。
それまでの私は母にべったりだったのだと思う。甘えん坊だった(幼稚園に入る前の子を甘えん坊というかどうかは分からないけれど)。だから母と引き離されることに恐怖したのだと思う。
その後幼稚園には楽しく通った。数時間親と離れて過ごすことにもすぐに慣れた。結局初めの1歩が怖かっただけだった。1歩目を踏み出すのは誰でも勇気がいる。今までの安定を壊すことになるのを嫌がるのは、原始に安定しない生活を送っていた人類の記憶だそうだ。
塾に「初めて」来た子の中には、すぐに環境に適応して変わっていける子と、そうでない子がいる。そうでない子は、自分の中に塾が「入ってくる」のをできるだけ拒もうとする。極力滞在時間を減らし、勉強も今まで通りの効果の無いもので済ませようとする。変わってしまうことを潜在的に恐れているのだろう。
その恐れは理解できる。だが恐れてしまうと変化はない。変化が無いから、塾に通い出した恐怖だけが続く。あの日振りほどこうとした母の手につかまれたままだ。自ら変化に飛び込むようになると振りほどこうとしなくても手は離れていく。怖いのは始めの1歩だけ。勇気を出して踏み出そう。