デビュー戦で失敗、そして
その講師の初回授業が行われた。本人の力は十分。練習もした。満を持して中学生の指導に送り出したつもりだった。
しかし思わぬことが起きた。その講師は初めての授業で「延長」をしたのだ。塾の規定時間は50分。授業終了のチャイムが鳴っても職員室に戻って来ず、おかしいと思って見に行ってみるとまだ生徒の横でしゃべり続けていt。すでに授業時間を30分超過していた。
きっと学生ととしては非常に優秀なんだろう。妥協しない、完成までやり切る。トップ層を目指す子には必須の資質だ。しかし仕事の取り組み方としてはそれは時と場合による。既定の時間内に収めることがプロだという意見もあるし、アルバイト講師を使う塾としては講師ごとの指導の「均一化」は死活問題だ。多少の延長はやむを得ないが、他の生徒がとっくに帰り支度を終えて教室を離れ、次の授業がすでに始まっているのに終わらない授業。受けている生徒は困惑し、疲労でフラフラしていた。もしかしたら終わらない授業に恐怖さえ感じたかも知れない。私はただちに授業を止めさせた。