埼玉県立高校入試

どうか明日は、普通の日でありますように。

埼玉県立高校入試


塾講師をしているせいか、毎年この日になると否応なしに思い出す。自分の高校受験の記憶。

 

私はそれまでの北辰テストや過去問演習で取ったことの無い最低点を入試本番で取った。普段よりも1割以上点数を下げた。

 

2時間目の数学でそれは起こった。その年は、出題傾向が少しだけ変わっていたのだ。私は初めて見るタイプの問題に動揺し、本当に頭が「真っ白」になった。

 

入試の出題傾向は少しずつ変わっていくものだし、去年と全く同じなんてのはあり得ない。でも「1問もミスできない」という思いが強すぎたのか、数学の序盤で解けない問題に出くわしてしまったことが焦りを生んだ。私はここで

 

「失敗した…」

 

という思いに捉われ、その後の科目でもミスを連発した。立て直すことはおろか、何も考えられないまま自分がどうやって問題を解いたのか実感も無く、勝手に手が動いている状態だった。帰り道の記憶も無い。その後合格発表日まで暗い日を過ごした。

 

これが今の指導の基礎のひとつになっていて、「何も考えずに出てくる知識しか入試には持っていけない」と生徒には伝えている。暗記の反復をしつこく繰り返しさせるのはそのためだ。これが身を助ける。

 

今日、受験生たちには入試前最後の授業を行った。内容は今までにやってきた暗記テスト。彼らの手には、ボロボロになった暗記シートがあった。それだけやってきたんだ。

 

入試では何が出るかは分からないし、100%が出せるわけでもないだろう。でも積み重ねたものは嘘をつかない。どうか塾生たちが、何事もなく普段通りを発揮できますように、と願う。