これはデリケートな問題だ。
それで決めるの?
今では入塾前の無料体験が当たり前になった。問い合わせをしてくれる親御さんの第一声も「体験できますか」にすっかりなってしまった。
実は入塾面談で「体験授業」を希望されると、ずっとモヤっとしたものを感じていた。やってはいたのだけれど。同じように感じている塾経営者って結構いるんじゃないかな。(あれ?自分だけ?)
私は雇われ講師時代、いわゆる「体験授業要員」のひとりだった。入塾の成功率を上げる為に出てくる、営業的授業の(自分で言うのもなんだが)上手な講師。そして契約が決まると「あの講師は現在枠が埋まっておりまして…」と、別の講師をあてがわれてしまうアレ。たぶん今でも「体験授業」をすると、あの時の手クセの悪さが出てしまっていると思う。今はそんなもんで勝負しているつもりは全くないのだけれど。
つまりぶっちゃけると、体験授業とは「塾側が更なる営業をかけるためのツール」なのだ。そもそも「無料体験」とか「オープンキャンパス」とかって、生徒を集める側からの提示なのだから、そりゃそうでしょうよ。保護者のみなさん、そんなもので入塾を決めてしまって大丈夫ですか。
確かに「何も知らないまま入塾するのは不安」とか「通うのは子供だから子供に決める権利がある」という意見も理解できる。しかし面談で何も隠さず話をして、必要ならば塾生の成績の変化でもなんでも話す。その上であと知りたいのは何だろうか。授業の楽しそうな雰囲気?そんなものは体験授業ならばいくらでも操作できてしまう。
「いつもの雰囲気が知りたいんで、通常授業に入れてください」
ということを言われることもある。
ここからは塾側の都合だが、これはちょっと困る。通常授業は塾生の保護者が「我が子のため」とお金を払って買ってくれた時間だ。そこに体験授業の子を交えるのは塾生たちに申し訳なく感じる。どうしても体験の子に気を遣っちゃうだろうしね。全く気にしないように努めようとしたってもう日常ではないのだ。ゆえに塾生に迷惑がかかってしまう。指導に集中して毎回全力を出そうとすると、そういったイレギュラーは無くしていきたい。あくまで通常授業は塾生のためにある。
さて、ここまで読んでいただいたところで、
「なんて傲慢な態度の塾なの、絶対に行くもんですか!」
とお怒りになってしまった保護者の方もいると思う。くすん。
でも子供の判断にゆだねるのじゃなくて、塾の良し悪しや入塾の判断は親御さんに決めてもらいたいと思っているし、そう思っている塾経営者は結構いるのではないだろうか。
通塾は子供に玩具を与えるのとは違う。飽きたらすぐに次とはいかない。一度行くと決めたら「だるいなー」と子供が言っても説得して行かせなくてはいけないことも出てくる。そこですぐに「いいよ辞めても」と転塾を繰り返すと、「辞め慣れ」ができて塾で成績を上げるのは絶望的になる。
そうならないためにも保護者の方にはしっかりと吟味して、「自分がこの塾に子供を通わせたい」と思っていてもらいたい。そういう意味では、体験授業はむしろ保護者の方に行いたいくらいだ。しかしそれは難しい。体験授業を依頼した保護者様に向かって、
「じゃあお母さん、今からこの問題解いてみ?」
と私が突然言い出したらワケがわからないだろう。かといってここまで書いてきた理由を全て話すのも難しい。
そこで、もくせい塾では「体験授業」は無いけれど「体験指導」を行ってみようと今思った。時間をとって、その子のみ受けられるようにする。そうすれば塾生には迷惑がかからないし、子供の「やる」というセリフを引き出したい親御さんの要望も叶えられる。もちろん体験なので、私も営業をバリバリで行うことを宣言する。もくせい塾に入ったら学力を上げるために全力を尽くすということでここはひとつご容赦願いたい。
と、ここまで読んだところで
「なんてケチで下品な塾なの、絶対に行くもんですか!」
とお怒りになられる保護者の方もたくさんいるだろう。くすん。
しかし、これは「塾選びは必ず『無料体験』をすべき」という、おそらく塾の回し者が書いたであろうネット記事へのアンチテーゼと、塾選びは子供に任せないほうが学力向上は上手くいくという私なりの誠意の現れなのだ。ここをご理解いただける方はもくせい塾と相性が良いと思うのだが。
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