講師の交代

システムがギシギシと音を立てていた。

講師の交代ってどんなもの?


以前少し触れたが、「講師の担任制」をとっている塾がある。同じ先生で一貫した指導を受けられる。そこでは逆に、講師を交代させることもできる。

 

「講師の交代なんてそうそうないでしょう」

 

と思っていたら意外にも年に1、2件はあった。

 

だいたいは(塾として情けない話だが)「成績が上がらない」という話と一緒に出てくる。あとは女子生徒もしくはその親御さんが「女性の先生にしてください」と言ってくるケース。担当する男性講師も若いので、何かあったのかと訝しんでしまう。が、幸い私のときは何も無かった。(好みの問題だったのか)

 

さて、講師の交代である。均質化を目指すが、アルバイト1年目と4年目ではどうしてもその習熟度に差が出る。受験の1年間を指導者としてまだ経過していない1年目は分からないことだらけだ。それを越え、熟練者になるとエースとして人気が出てくることもある。それをどこかで聞きつけたのだろう、保護者から「〇〇先生にしてください」と直訴されることもある。しかしだいたいそういう人気講師の枠は埋まってしまっていることが多く、申し訳ないが他の先生で我慢してもらったりもした。そういう講師を狙うなら1月~3月に受験生が卒業したタイミングがいいと思う。

 

一方で前述の「成績不振」による講師交代はデリケートな問題だ。 こういう時は慎重になる。「成績が上がらないのは先生のせいです」ということを真摯に受け止めなくてはいけない。よって現状よりも経験豊富な先生を選定して担当させるようにする。しかし多くの場合はそれでも成績が上がらなかった。真摯に受け止めた上で誤解を恐れずに言うならば、ここが限界だと思う。

 

交代を担当講師に言い渡す時は気が重かった。講師だって人だ。おまけに若い大学生くらいの人が多い。自分の勉学やサークル活動をしながらも一生懸命働いているのは知っているのでなおさらだ。泣いてしまう子もいた。生徒が塾自体を辞めてしまう場合は塾長がその衝撃を受けるので講師にはそこまで伝わらないが、講師の交代は別だ。自分が担当を降りた生徒が他の先生と楽しそうにしているのを見るのはなかなか辛い。でも成績が上がらないままで良いわけはないので仕方がない。どちらを向いても苦しく、そこはジレンマだった。講師の担任・交代制について少し含みを持たせた言い方になるが、私は東京でも大阪でも、ガストに入ったらガストのハンバーグが食べたい。