文章をただ読むだけじゃ読解力は身に付かない。
「音読は小さい頃からさせてきたんだけれど」
小学生で、「ちゃんと読めている」のに実力テストの点数がイマイチ振わない子がいる。カラーテストの成績とは別の話ね。
入塾時にテストの成績を見せてもらうと、国語が平均前後。親御さんも
「ウチの子読解力が無くて」
とおっしゃる。読書の習慣も無いらしい。
それならばということで国語の指導を始めて最初に文章を読んでもらうと、意外と思っていたよりも読める。漢字もまあまあ分かる。手ごたえとしては確実に公立小学生の平均は超えていそう。
なんだろうなと思っていたが、考えられる原因は2つ。ひとつは、「問題演習の経験不足」だ。学校の授業では教科書の解説を行う。その中で、カラーテストで問われることとその解答の書き方も「教わって」しまう。だから国語において問題文を読んで答えを考えるという経験がほとんど積まれていかない。それで実力テストがほぼ初めての問題演習になっているという場合。
そしてもうひとつが、「音読と思考が連動していない」場合。音読が字面を音に変換する、音読という「競技」になってしまっているのだ。そういう子は読んでも内容が理解されないまま問題に向かうことになる。テニスの練習で素振りをしても、それが実際にボールを打つときのフォームになっていないみたいな感じ。
こういう場合は、文章を読みながら考えるということもさせなくてはいけない。一緒に文章を読みながら、
「これはどういうこと?」
や
「なんでこう思ったのかな?」
という発問を投げかけていく。文章を読み進める際に、いちいち立ち止まらせるイメージだ。そういう思考のクセを付けていけば、文章を読む時にどんなことが問われて、どのように答えれば良いのかが分かるようになるだろう。水泳で、手で水をかくと体が前に進むことを体感するように、文章を読んでいて立ち止まったところがそのまま問われることになるのだ。