意識をどこまで行き渡らせることができるか

針に糸を通すかのような正確さ。

勉強道の家元だね

 

精神的に成熟している子は学力が高い傾向にあるが、落ち着きとともに、「意識の張り巡らし方」も変わってくるようだ。

 

問題を解く時に、目の前の問題文の隅々まで意識が行き届く。読み飛ばしや読み間違いが少ない。途中の式にも意識が向いており、ミスしたらその場で気づくことができる。そもそも、普段授業を受けている時から意識が授業に向けられており、自分の頭の中と目の前で展開されている授業内容がリアルタイムでリンクしている。だから不明な点にすぐに気付くことができ、「分からないところが分からない」とはならない。学力の高い子は意識が隅々まで張り巡らされている。

 

塾で生徒と見ていて気付くのは、「学力の高い子は行動にエラーが少ない」というものだ。たとえば生徒ごとに用意されている生徒ファイルを棚に戻すとき、上下が逆さまになっているのは決まって成績の良くない子だ。忘れ物にも同じ傾向がある。成績の良い子は塾に来るときもスルッと入って来てスルッと勉強していく(もちろん挨拶などは大きな声でしっかりしてくれるのだが)。エラー音を立てないので、普段の生活ではあまり目立たない。

 

そういう、指先にまでしっかりと意識が行き届いているような子は丁寧な作業ができ、それゆえ学力も高くなる。中には指先を飛び出して、使っている道具にまで意識が行き届いているような子もいる。こういう子は所作が美しくすら感じる。その道をすでに極めつつある人の振る舞いだ。