話し合ってそう決めたのなら応援するよ!
道を選べる強さ
私は一般受験で大学に入った。今よりも推薦入試制度が充実していなかったし、多くの同世代の人がそうだった。1日10時間以上勉強したし、(自分のせいだけど)学力が壊滅したところからのスタートだったのでそれなりに苦労もしたと思う。受験をめぐって兄と喧嘩になり殴られたこともあった。
さて、そんな私が塾講師をやるとどうなるか。はじめの頃は「一般を経験しとけ」となりがちだった。「若いころの苦労は買ってでもしろ」的な、典型的な迷惑おじさん思考だった。
しかし時代は変わり、今や大学進学者の半分がなんらかの推薦制度利用している。そうなると考えも変わり「使えるものは使うべき」と思うようになっていった。現に、もくせい塾の高校生は指定校推薦で大学に行く子が多い。そしてそういう子に対して素直に尊敬の念がある。高校生活を頑張っているというのは自分には無かったことだからね。
そんな中、「一般受援で大学に行く」と言ってきた子がいる。学校の成績も悪くないので推薦制度も使えるはずだが、あえて一般を選ぶという。理由を聞くと、
「自分にもプライドがある」
と言う、おお。学校では「推薦は『逃げ』」と言われているらしい(上位校にはよくある話)。
合理的な大人としての私は、「なんとオールドスタイルな。もったいない」と思ったのだけれど、一方でもう一人の私は、その子の矜持を尊敬し、応援したいと思っている。