どこまで言うか

昔塾長として働いていた塾で、講師が

 

「アイツを大学に入れてしまったのは罪なのかも知れない」

 

と言っていたことがあった。(もちろん半分冗談でだけど)

 

「アイツ」とは、まあ、塾に来ているのに勉強をしない生徒だった。やれと言ったこともやらない。塾にゲーム機を持ってきて、休憩と称しては遊んでいるような子だった。いくら注意されても直らなかった。お世辞にも大学生としての格に見合うような振る舞いではなかった。

 

でもその塾ではそれでも一生懸命指導し、その子は大学に合格することができた。傍目から見ても、講師の力で大学に入った。私が講師として接していたら合格させることは難しかっただろうし、それ以前に途中でキレて塾を辞めさせていただろう。

 

それで、その功労者である担当講師が言ったのが上の発言。仕事を全うしたのに、逆に苦悩を抱えてしまったというわけだ。ちょっと闇が深い。「勉強」って何だろう、ってね。当然生徒の進路の「先」については責任を取ることができない。その子がしっかり大学生をやり卒業できていたらいいなと思う。

 

もくせい塾で生徒を指導している今も、時折そのときのことを思い出す。だから厚かましいことだけど、そういうことには口うるさくなってしまう。