そこから何が見える?

もくせい塾は「自習ありき」の仕組みになっている。

 

毎回の授業で小テストを行うので、その準備の為に塾に来ることになる。私は、自宅で勉強するのは難しいという立場だ。自分自身もそうだったし、長年生徒を見ていて自宅学習が上手くいっている生徒はほんの一握りだったからだ。ただし、塾に通わずに自宅学習が上手くいっている生徒もいるだろうがそれは私の関知できないところである。私も含め多くの生徒にとって、誘惑が多く甘えが許される自宅学習はハードルの高い作業だ。

 

だから塾に来させる。そうすることで勉強ができる。勉強しかない環境に身を置くので成績も上がる。まあ当然生徒は嫌がる。それは面倒な作業だからだ。何かしら理由をつけてサボろうとする生徒もいる。しかしそういう生徒に差し伸べられる手はここにはない。テストの準備をしないと授業は進まないし、私がこのルールを曲げることはないからだ。ここで合わせられない生徒は退塾してしまうこともあるがやむを得ないと思っている。入塾時にこのルールは説明をして納得した上で入ってもらっているし、ウチの売りはこの仕組みで成績を上げることにある。生徒に甘やかしの手を差し伸べても結局長続きしないことも散々経験してきた。

 

新しく入った生徒が初めの2週間自習に来ず授業が進まなかったが、ここに来てよく自習にくるようになった。ルールに馴染み、自分で歩くことをはじめられたようだ。

 

きっと彼の眼前には無限に広がる学問の世界が広がり、そこを自分の足で歩ける自由を感じていることだろう。第一の関門を突破することに成功したこの子は、すでに今までとは違う景色を見ている。