私は中学高校生時代に勉強のやり方などアドバイスを受けたことは無かった。学校で予習のやり方の説明を受けたことくらいはあったけれど、テスト勉強や受験勉強は自己流だった。だからその中で自分なりのやり方を試行錯誤し、たくさんの上手くいかないことを経験した。
そんなだから、弊塾に通っている生徒たちにも勉強の指示をあまりうるさくあれこれすることはない。塾のルールを守ってくれればその日生徒がやっていることに口を出すこともほとんどない。かなり放任だ。
「勉強のやり方を教えてください」
と保護者の方から言われることは多い。自分の中にもそれなりにノウハウはある。しかし今までの経験上、それをそのまま生徒に伝えてもほとんど効果は出ない。なぜなら「やり方」を教えても上辺だけの真似事になってしまうからだ。
結局、私が勉強をして身に付いた教訓は「どんなことでも上達するには試行錯誤が大切」ということだった。あれこれ失敗して結局一番効果的な方法を探る過程にエッセンスはあるのではないか。だから経験の無い子に最短距離の進み方を教えても意味がない。結局その距離をノロノロと歩くだけになる。自分のやり方を試し、失敗し検証して次の策を練っていく。その中で「なぜ効果が上がるのか」を自分の言葉で説明できるようになることが勉強できるようになるには必要なのだ。
もちろん生徒が勉強のアドバイスを求めてきたら答える。具体的なやり方も示す。しかしこれは生徒が自分の道を歩き出した証拠でもあるのでやっている。そういう子にするアドバイスは効果が出る。
回り道をしたらいい。その道を用意してあげることこそが「勉強のやり方を教える」ことなのだと思う。