ワークを失くした➀

今日の文章は、心ある保護者の方なら身の毛のよだつ話として最後まで読み進めることはできないかも知れない。

 

昔働いていた塾では、

 

「ワーク失くした」

 

と生徒が言うのをたびたび聞いた。

 

当時、定期テスト前に学校の提出物が終わっているか塾がチェックしていた。せざるを得なかったわけだ。今考えると恐ろしいが、それが塾の「面倒見の良さ」だと思っていた。今ならこれは大きな勘違いだと言えるのだが。

 

まず、テスト範囲の提出物が終わったかどうかも本人が把握できていない。だから生徒からの報告を待っていては埒が明かず、学校のワークを塾に持ってこさせ、私と担当講師でテスト範囲表を見てチェックしていた。なんとこの間、生徒は何もせず隣で座ってるだけ。

 

で、そういう生徒は自分ではやらないから授業外で塾に残して、手の空いている講師に頼んで隣に付いてもらったりもして期限に間に合わせるのだ。提出期限はテスト当日なことが多いので、テスト勉強の期間はそれだけで終わる。そして提出させるのが目標だから答えを写させたりするだけ。

 

今になって思う、これは一体なんの時間だったのか。誰も幸せにならないのは、少し考えれば、いや考えるまでもなく結果を見ればすぐに分かったのに。当時の私はバカだった。

 

この過程で冒頭の「ワーク失くした」というセリフを聞くのだ。もう笑えてくる。