今日は埼玉県民の日で近隣の中学校はお休みだそうだ。
だが今日も教室が開くなり受験生たちが自習にやってきた。受験生は期末テストまで残り4日、1・2年生も残り2週間だ。休んでいる暇などない。
学校の英語のワークには長文問題が載っていて、その訳を一緒に確認してほしいと生徒が言ってきたので行った。ワークの長文も学校の定期テストで出されるのでテスト対策だ。最近の学校の英語ワークは難しい。おそらく学校で平均点前後の子ではきちんと日本語訳を取ることはできないだろう。今日確認した文章にも<命令文,and>構文や不定詞、現在完了などの文法もふんだんに盛り込まれていた。指導しないと絶対に「なんとなく読み」に生徒が流れてしまうやつ。それを許していると、取り組むほど英語の力を弱めてしまう。
「せんせートイレ」
「先生はトイレじゃありません」
昔こんなネタがあった。生徒が言葉足らずで起こるやり取り。なんとなくこれ小学生のイメージだったのだけど、今は中学生や高校生でも普通に起こる。全く笑えない。
単語のみによる会話は言語能力の成長を阻害する。学校の定期テストで平均点前後くらいから「文章で話す」ことのできない子が増える。再テストの申し込みをする時も
「先生平行と合同の3番」
とやって来る。先生は平行と合同の3番じゃありません。
こういう生徒は国語の記述問題が解けない。「なぜですか」と問われているのに「~こと」と答えたり、「何ですか」と問われても「~している」と答えたりする。言葉のやり取りができていない。普段単語で会話をしていることの弊害はこういう所に出る。
周りの大人が「察して」会話を成立させていてはダメだ。きちんと何がどうなのか、本人の口で説明させることが国語力アップにつながる。
「家で手伝えることはありますか」
面談で保護者の方に結構聞かれる質問だ。生徒が勉強を頑張り出すと、親としても何かしてあげたいと思われるのだろう。
「お子さんが勉強している時、そばにいてあげてください」
私の回答はだいたいこれ。ちょっと拍子抜けに感じさせてしまうかも知れない。でも子供の勉強には一番効果的な気もする。遊んでしまうことへの抑止力とひとりでやる心細さへの安心感。これに勝るサポートってあるのかしら。「見ているよ」というメッセージ。それ以上はいらないし、それこそが欲しい。
テレビを消して勉強する子の隣で読書なんかしてたりしたらこれ以上のものはないと思っている。親の背を見て子は育つのだから。
塾の小テストの準備を当日に行っている生徒がいる。
弊塾のルールは小テストの準備は当日「までに」行う。つまり前日までに完成しておいてくださいというもの。だから入塾面談でも自習に来ることをお願いしている。したがって当日来て準備をしているのはルール違反ということになる。
まずなぜこのルールにしているのか。それは学習量の確保が目的だ。勉強は毎日行うべきもの。しかしいきなりそれはできないだろうからまずは授業の日と自習の日、最低でも2、3日は塾に来て勉強してほしいと思っている。じゃないと成績なんか絶対に上がらない。
理由があってたまに当日準備になってしまうくらいならば仕方がない。だがズルズルと当日準備になっていく生徒は面倒くさがってそうなるわけで、他に日に自習になんて来やしない。楽をしようとしているわけだからね。そうすると小テストも合格できなくなるし、そもそも準備が間に合わないということが発生する。そうなった段階で指摘はしている。それで変わってくれればいいんだけどね。
そういう生徒の成績は徐々に下降線をたどる。成績が下がったと気づいたときにはもう取り返しが付かないほどの負債を抱え込んでいる。成績が下がるには理由があり、それは時間をかけて影響を及ぼしているのだ。今週やるべきことを怠っていないか、それをもう一度よく考えてみてもらいたい。
学生時代に家庭教師のアルバイトで「オール1」の生徒を指導したことがある。
別に学校に行けていないわけじゃないし素行が悪いわけじゃない。普通の男の子。そして普通に学校に通っていてオール1。今ならなぜそんな成績になるのか詳しくご両親から話を聞くが、その時は「そんなものか」くらいに思っていた。
指導が始まると確かに問題は全く解けない。中3の段階で数学の力は小学校4年生くらいだった。でも受け答えはちゃんとしてる。挨拶もできる。これならいいける、と思った。保護者の方からの要望は「なんとか高校に入れて欲しい」だったし、私はまだ自分の力を過信していた。
指導が始まって少しして、生徒が暗記テストでカンニングをした。成績の理由はこれか、と思った。学校でも常習なのだろう、割とあっさりやった。学校の先生に見つかっていたかどうかは知らない。しかしこの逃げ癖を直さない限り成績は上がらないと思った。私は生徒宅で即座にブチ切れた。お母さんが心配して部屋に入ってくるほどだったが関係ない。ここで変わらなければ学力を伸ばすことなんて無理だ。私はクビになる覚悟でヤンキーよろしく巻き舌で怒鳴り散らした。生徒は辞めなかった。根性があるなと感じた。そこから私も本気になった。時間の許す限り生徒宅で指導を続けた。数学はなんとか中学生の計算、英語は簡単な文法と英文読解くらいまではできるようになっていった。
ある日指導が終わりお母さんと話をしていると、
「最近ウチの子に口喧嘩で負ける」
と言われた。なんでも「口調が先生(私)に似てきた」とのこと。私の思考回路を自分にコピーしてくれているようで嬉しかった。勉強は「真似る」こと。お子さんを生意気にさせてしまった申し訳なさと学びを実践してくれている喜びを感じた。
受験期、都立高校第一志望で私立高校の併願校を1校立てていたが、直前になりもう1校私立校受験を増やすことになった。聞くと「学校の先生に『受けるよう』言われた」と。その学校は偏差値こそ37だったが、保育科のある専門コースの学校だった。私の不安は的中し、その学校には不合格になった。聞くと面接があったのに、中学校では何も対策がなかったということだった。明らかに学校のリサーチ不足でその子に土が付いた。私は憤ったが、その後私が勧めた私立高校は合格だったので生徒のメンタルはなんとか保つことができた。
そして都立高校受験。受験するのは偏差値44の高校。通知表は明らかに足りていない。学校の先生にも考え直すよう言われていた。が、もう揺るがなかった。受験し、無事合格。
最終日、生徒のご両親が私を食事に誘ってくれた。
そこで私が
「学校の先生に『ざまあみろ』って言った?」
と聞くと、その生徒は
「そんなこと言いませんよ」
と返してきた。どうやら全く私には影響されていなかったようだ。本当に良かった。
今日は3連休の最終日か。生徒が早くから教室に来たことで気が付いた。
昨日は用があってある大学の学園祭を少し覗いてきた。学祭は学生のためのものだと思うので私のような部外者が楽しめるものではないが少し気付きもあった。
その大学に誰が興味を持っているか。それが学祭に行くとちょっと分かる気がする。受験生が興味を持っている場合は受験生本人が、親が興味を持っている場合は親が子供と一緒に訪れるのではないだろうか。他にも地域に根付いた大学ならば地元の人が多くいたり。その大学の本当の評価ってこんなところに出るのかも知れない。
受験生が志望校選びで高校や大学の行事に参加しているのを、「普段の様子が分からないんじゃあんまり意味ないんじゃないかなぁ」なんて思っていたのだが、こういう視点は役立つかも知れない。同じように来ている他の生徒の雰囲気とかね。
ちょっと憤っている。
生徒が持ってきた学校で出された数学のプリント、難関私立高校の入試問題が載っていた。明日北辰テストだぞ、それ今やる意味あんの?
例えば今指導している分野の問題だったりすればまだ分かるのだが、普通に中受でやる問題を高校受験向けにアレンジしたような、この辺りの私立高校では出そうもない問題だった。意図が分からん。おそらく学校でも数人しか解けないだろう。それを方程式もまだ覚束ないような子もいる公立中学校で生徒にやらせる意図は。
「こんな難しい問題だってあるんだぞ、すげーだろー」だったらめっちゃむかつく。そんなマウントに生徒の貴重な時間を使わせんな。質問に来ちゃったから解説したけどまるで無益な時間だった。下に正解だけ載せたプリントの作りになってたけど、ちゃんと方程式も覚束ない子にも分かるように解説はしてくれるんだろうね。無責任なことはしないでくれよ、って思う。